NOCEの家具バイヤーズブログ 2011年10月14日 2011年 秋 中国出張 最終回

NOCEのバイヤーズブログ

2011年10月14日 2011年 秋 中国出張 最終回

今週は、まるで夏の名残のように暖かな日が続きました。
日中は半袖でも汗ばむ日もあり、
湿度も低く気分爽快に過ごせました。

今週末は、残念ながらNOCEのある地域では土曜日に雨、
日曜日も関西以西を除いて曇りや雨になるそうです。
ただ前線に温かい空気が吹き込むため気温は下がらないそうです。
お出掛け日和とは言い難いのですが
雨の合間をぬえば少し湿った風が心地良く感じられるかもしれません。
その際には是非、NOCEにお立ち寄りいただければと
全国スタッフ一同お客様のご来店をお待ち申し上げております。

今週の新商品のご紹介はカフェアイテムの王道とも言える
パインのダイニングテーブルとチェアです。

1014LWチェア.jpg LWチャーチチェア
¥11,800
幅41×奥行46×高さ81(42.5)cm
Made in China

1014LWパインテーブル.jpg LWパインテーブル135
¥34,800
幅135×奥行80×高さ75cm
Made in China
※組立式

LWパインテーブル150
¥39,800
幅150×奥行80×高さ75cm
Made in China
※組立式

NOCEとしてパイン材を使ったダイニングを本格的に輸入するのは
5年ぶりです。
以前ロングセラーだったその商品を始めたのは18年前でした。
以前はどちらかと言うとカントリー色が強かったのですが
今回の商品はその垣根をなくしてあえてカフェという所に
こだわって作りました。

もともと下北沢のカフェにあったテーブルとチェアを
採寸させていただいて再現した物です。
(そのカフェは残念ながら今年4月に無くなってしまいました。)
現物はかなり使い込んだイギリスのアンティークでした。

この図面をイタリアにある以前の工場に送付したところ
「殆ど生産ラインがストップしていて型から起こすと
莫大な費用がかかるだろう」と言われてしまいました。

そこで付き合いのある中国のパインメーカーに持ちかけると
「チェアは既に日本に輸出している型があり、
テーブルもシンプルな構造なので問題ないだろう」と言うことになり
プロトタイプ(試作品)の製作となりました。

プロトタイプの出来は初回でクリアし、正式発注となりました。

テーブルの生産工程です。
111014-1.jpg テーブルの幕板を作っているところですが
殆ど1人で「こつこつ」と作ってしまいます。

幕板が完成し
111014-2.jpg EO3という環境に優しい塗装を施し天板を取り付け
111014-3.jpg 脚を確認してパッキング過程に進みます。
111014-4.jpg 最終チェックを終えたチャーチチェアが並んでいます。
これだけ並べると本物の教会のようです。
111014-5.jpg この後チェアはカートンに詰められて横に並んだテーブルと一緒に
コンテナに載せて出荷となりました。

チャーチチェアとはもともと教会にある家具のひとつの呼称です。
一言にチャーチチェアと言ってもサンクチュアリ、カトリック、
チャペル、カテドラル、フォールディングと種類は様々で
ひとつのものを指したものではありません。

ヨーロッパにある古い教会に行くと足置きと背もたれの後に
聖書を入れるボックスがある長いベンチをよく目にします。
これがやはりチャーチチェアの原点といえます。
現在のチャーチチェアは金属性に布かPVCでシートを張ったものが
主流ですが、聖書をおくボックスは必ず付いています。

日本のカフェで使用されている多くのチャーチチェアは、
木製で19世紀に広く教会で使われたデザインに基づいています。
実際イギリスの教会で使われていた物をアンティークとして
輸入して使用しているケースが多いようです。

テーブルは所謂ファームテーブルに基づいていていますが、
構造がシンプルなのであまりカントリー色は強くありません。

19世紀によく使われたチャーチチェアで
111014-6.jpg 背もたれはラダーバックになっています。
(ラダー、梯子状の背中)
111014-7.jpg






















背もたれの後ろに特徴である聖書を置くボックスが付いています。
111014-8-1.jpg 111014-8-2.jpg





















雑誌やランチョンマットなど
テーブル周りのリネン類の収納にも役立ちそうです。

背もたれの上部に「ほぞ」が突起しています。
111014-9.jpg














現代では素朴な手作り感を強調する
デザイン的要素の方が強くなっています。

テーブルはいたってシンプルで
111014-10.jpg ウォールナット色の曲木チェアとも合います。
111014-11.jpg













チェアを差し込むと
111014-11-2.jpg よくカフェにあるテーブルとチェアになります。
111014-12.jpg 素材はロシアンパインの無垢材を使用し、
塗装には「EO-3」という環境に配慮した塗料が施されています。
適度なザラザラ感と艶を抑えた仕上げは
オイルステインの風合いがあります。

さて価格は、テーブル135cmが34,800円、
150cmが39,800円、チェア11,800円と
この仕上がりや原材料の高騰から考えれば格安といえます。

風合いや雰囲気を画像ではなかなかお伝えすることが難しいため、
是非一度NOCE各店にてお確かめいただければと思います。

モチーフとなったこのテーブルとチェアが置いてあった
今は無くなってしまったカフェの通りには、
今でもパンケーキの焼く匂いと
少し濃い目のコーヒーの香りがしてきそうです。



翌朝は4時のモーニングコールでしたが3時半に目が覚めてしまい、
バスタブにお湯をはって仕事の疲れを癒しながら
「今回の事」を考えていました。

中国の家具見本市は年々衰えていくように感じました。

隆盛を極めた中国経済ですが世界経済の減速とともに今、
岐路に立たされている気がします。
今回も中国家具関係者の話でも輸出に関しては
全くいい話を聞くことができませんでした。

今回の東莞、広州、深蝨ウは「珠江デルタ」工業地帯と呼ばれ
輸出工場の密集地域で正に「世界の工場」と呼ばれた所です。
この地域では家具工場は勿論、服飾、靴、文房具など
日常品のありとあらゆる物を生産してきました。

ところがこの2年位前から凄まじいインフレ(物価が高騰する事)に
伴う賃金の上昇と世界的な金余りによる資源(材料)の高騰で
(コストプッシュインフレ)、工場は商品に転嫁せざるを得ない状況です。
それに伴い輸出量が減少しているのが実情です。
そして更に主要輸出国である先進国の景気減速が追い討ちをかけ
輸出産業は大打撃を受けてしまっているのです。
既に相当な数の工場が閉鎖、倒産していて
工場オーナーの自殺も社会問題のひとつとなっています。
中国はこの元凶といえるインフレを抑制するために金利を上げ
「引き締め政策」を実施していますが、
あまり効果がなくむしろ工場に対する融資が減り
輸出産業自体が縮小傾向にあるのです。

勿論、家具工場も同様です。
今回とにかく驚いた事は(家具の)輸出価格の上昇です。
2倍と言っても過言ではありません。
そのスピードは円高のスピードを遥かに上回っています。
デフレ社会の日本では簡単に価格に転嫁する事ができません。
従って中国からの輸入も限られてしまうという事なのです。

しかし、安価な中国家具は世界の家具生産者を廃業へ追い込み
今や輸出量は世界一となっています。
「中国無くして世界の家具市場は有り得ない」状況にあるわけです。

僕は、3年くらい前このブログで
「中国が真似するものが無くなった時」が本当の正念場だと
書きましたが今それを実感しています。

今回訪れた家具見本市のブースはとてもデザインや感覚もいいのですが、
肝心の商品に全く魅力を感じません。
言い換えれば「見本市のための家具見本市」であって
「家具のための見本市」という
本来の姿を見失ってしまっているような気がしました。

その昔、ミラノサローネ
(イタリアのミラノで年一回行われる世界規模の見本市)も
所謂「売買」の場所でした。
しかし当時(10年位前)、中国がその出展者の商品を模倣し
安価で生産していくためイタリアメーカーが減少し
世界家具生産首位の座を中国に手渡す事になってしまいました。
その後ミラノは、イタリア国内での生産者の減少により
実際の売買というよりまるでニューヨークの
ファッションウイークのようなデザインの
「プレゼンテーションの場」という色が濃くなりました。

中国は今、「模倣していたその時間」で止まったままです。
ただ、価格だけが当時のイタリア並みになってしまっているのです。
このままだと中国の家具生産者は減少する一方で、
安価なものを大量生産出来る工場と
工房的な高級家具生産者しか残れなくなってしまいます。
つまり選択の幅がより少なくなってしまうという事なのです。
僕には「こうすべきだ」という事は言えませんが、
インテリアとしての家具が手の届かない所に行ってしまうような
危惧を感じました。

バスタブから上がると窓の外はまだ夜の様でした。
1014-1.jpg












ロビーで
1014-2.jpg 朝早いチェックアウトを済ませ出口に向かいます。
1014-3.jpg












隣のタワーへと続くコリドーの下には
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暗い道が夜明けに繋がっていました。
1014-5.jpg
















喧騒を忘れた
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誰もいないモールの窓が群青色した夜明けの空を切り取っていきます。
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夜が
1014-8.jpg
















ゆっくりと
1014-8-2.jpg 明けていきました。
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まだ眠っている地下鉄のゲートを過ぎ
1014-9.jpg
















薄紫の空にささるバス停に
1014-11.jpg 空港行きのバスが来ました。
1014-12.jpg
















起き始めた香港の街を背にしたバスが空港に着く頃
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車窓には滑走路の向こうから昇り始めた
1014-14.jpg 太陽が見えました。
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その太陽が沈んだ頃、
1014-016.jpg












僕は下北沢のワインバーのテラスに居ました。

4日ぶりのアルコールが
1014-017.jpg
















時間だけを切り取っていき
1014-018.jpg テーブルの上にあるエッフェル塔は
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記憶の中に消えていきました。
1014-020.jpg 
















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  1. 2011/10/14(金) 10:52:34|
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